六波羅蜜について
六波羅蜜とは
波羅蜜(はらみつ)とは
波羅蜜とは、サンスクリット語の「パーラミター」の音写(漢訳)で、完成、彼岸に到るという意味の言葉です。
迷いの世界である「此岸」から悟りの世界である「彼岸」へ渡ることを意味し、「到彼岸」や「度」、「度無極」、「究竟(くきょう)」と訳されることもあります。
波羅蜜多(はらみた/はらみった)と呼ばれることもありますが、波羅蜜と同じ意味です。
此岸(しがん)と彼岸(ひがん)について
此岸とは、多くの人々が生きている迷いや煩悩に満ちた現実世界、つまりこの世のことです。
生老病死を避けることができず、思いどおりにならない出来事に直面しながら生きる、人間のありのままの状態を表しています。
彼岸とは、悟りを開いた世界、つまり極楽浄土のことです。
煩悩の働きを正しく理解し、物事に振り回されなくなった、清らかで心穏やかな状態を示します。
六波羅蜜(ろくはらみつ)とは
六波羅蜜とは、此岸から彼岸へ渡るために菩薩が実践する6つの徳目・修行のことです。
六つの徳目を磨くことで、貪欲、怒り、愚痴などの心を抑え、悟りの境地に到達することを目指します。
六度万行(ろくどまんぎょう)とも呼ばれます。
| 波羅蜜 | 説明 |
|---|---|
| 布施(ふせ) | 人々に惜しみなく財や教え、安心を与えること。 |
| 持戒(じかい) | 戒律を守り、道徳的で清らかな行いを保つこと。 |
| 忍辱(にんにく) | 苦難や批判に耐え、怒りを抑えて心穏やかでいること。 |
| 精進(しょうじん) | 真実の道をひたむきに、たゆまぬ努力で実践すること。 |
| 禅定(ぜんじょう) | 心を静め、集中させて、波立たせない安定した状態。 |
| 智慧(ちえ) | 物事の真実の姿(空)を見極め、正しい判断をすること。 |
菩薩について
菩薩(ぼさつ)とは
菩薩とは、悟りを目指し修行する人を意味する言葉です。
菩薩は菩提薩埵(ぼだいさった)の略であり、これはサンスクリット語の「ボーディサットヴァ(bodhisattva)」の音訳したものです。
菩提とは悟りのことで、薩埵とは求める者という意味があります。
菩薩は仏陀(如来)を目指して修行しつつ、周囲の苦しむ人々を救うために慈悲深く行動する尊い存在です。
代表的な菩薩には、観音菩薩、地蔵菩薩、弥勒菩薩などがいます。
なお、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマは、観音菩薩の化身として信仰されています。
菩薩道(ぼさつどう)とは
菩薩道とは、自ら悟りを目指す「自利」と、他者を救済する「利他」の心を兼ね備え、実践する生き方です。
具体的には、全人類の幸福を見通し、日々の生活や職務の中で「六波羅蜜」を積み重ね、慈悲深い行動を貫くことを指します。
菩薩道を行うことを「菩薩行」と言います。
波羅蜜に関連する事柄
無財の七施(むざいのしちせ)
無財の七施とは、お金や資産が無くても、誰にでも日常的に実践できる7つの布施(施し)のことです。
その由来は、雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)の巻六「七種施因縁」において、お釈迦様が「財物がなくても大果報を得られる」として説かれたことです。
具体的な駆動としては、特に難しいことではなく、笑顔や優しい言葉、お手伝いなど、相手を思いやる心で行動することが挙げられています。
これらを実践することで、自分も周囲も幸せになれることを示しています。
| 布施 | 説明 |
|---|---|
| 眼施(げんせ) | 常に温かく優しい眼差しで人に接する |
| 和顔施(わげんせ) | いつも微笑み、穏やかな顔で人に接する |
| 言辞施(ごんじせ) | 優しい言葉、思いやりのある言葉をかける |
| 身施(しんせ) | 自分の体を使って奉仕・手伝いをする |
| 心施(しんせ) | 思いやりの心、気配りを持つ |
| 床座施(しょうざせ) | 座席や場所を譲る |
| 房舎施(ぼうしゃせ) | 雨風をしのげる休息の場所を人に提供する |
四摂法(ししょうぼう)
四摂法とは、菩薩が人々を悟りに導くために実践する4つの具体的な行動です。
これは、相手を思いやる心を持って、見返りを求めず、人間関係を調和させる慈悲深い行動原理を指します。
その出典は、パーリ仏典長部の『三十二相経』『等誦経』などに説かれている言葉です。
日本では、道元(鎌倉時代初期の禅僧)が著書『正法眼蔵』で重視しており、菩薩の日常的な実践として「菩提薩埵四摂法」と呼びました。
| 行動 | 説明 |
|---|---|
| 布施(ふせ) | 物や心を惜しみなく分け与えること。金銭・物資を施す「財施」、教えを説く「法施」などがある。 |
| 愛語(あいご) | 思いやりのある、優しい言葉をかけること。相手を和ませ、励ます慈愛の言葉。 |
| 利行(りぎょう) | 人のために利益になる行動をすること。見返りを求めず、善行を行う。 |
| 同事(どうじ) | 相手の立場に立って共感し、苦楽を共にして行動すること。相手と同じ目線で寄り添う。 |
諸善万行(しょぜんまんぎょう)
諸善万行とは、悟りや極楽往生を目指して修める、あらゆる善行や修行の総称です。
諸善とは諸々の善行であり、万行とはあらゆる修行(坐禅、読経、行脚、善行など)を指します。
浄土真宗においては念仏以外の自力の修行(雑行・雑修)を指し、それらは真実の救いに至るための「仮の入り口(方便)」であるとされています。